水道料金問題とは・・・3

【私見】
 この物語は、マンションに新しく入居したAさんが、管理組合総会議案書・決算書に関心を持ったことにはじまる。
 
 ひとりの小さな疑問が、やがてマンションを大きく動かすという例を、たくさん見てきた。
 私の、マンションでは、とくに第2期の理事会の皆さんが、貴重な財源の垂れ流しを食い止めてくださった。
 当時の理事長さんの、熱意のこもった「広報」を読み返して、胸が熱くなる。
 私の目からは、孤軍奮闘に見えたし、多少強引とも言えるやり方には反発もあったろう。
 でも、今、こうしてマンションの修繕を「一時金」なしでやり遂げられたのは、理事長さんのおかげだと思う。
 
 小さな疑問の芽を放っておかないことである。
 まず、調べてみる。
 分かるヒトに聞いてみる。
 そこから、小さな一歩が始まる。
  

第三話 水道料金が赤字になる理由

2000年11月×日 札幌市内・Aさんからのメール 4

 なるほど、計算してみて、納得しました。
 高額な超過料金を払っているヒトの使用量が、水道をあまり使っていないヒトの基本使用料枠(一律10m3)で穴埋めされて、絶対に赤字にはならないことが、いろいろ計算してみて分かりました。
 ウチのマンションは、小さな子どもが多いので、洗濯物でたくさん水を使う家庭も多いし、反対に単身者もたくさんいるので、大きな黒字が見込まれるはずだということも、分かりました。

 じゃ、なぜ、うちのマンションは水道料金会計が赤字なのでしょう?
 管理会社が、水道料金の計算方法を間違っているのかと思って、私のウチの先月分請求書を確認したら、少なくとも我が家の分は、計算がぴったり合っています。
 こんな簡単な理屈なのに、どうしたら赤字になるのか、分からなくなってきました。

【寺地から返信】

 じゃ、赤字になるを、この間の30戸のモデルケースで実際に確認してみましょう。

 30戸のマンションなのに、水道局への申請が、20戸だったとしたら、どうなるでしょうか。
 水道の使用量は、450m3でしたね。
 ◆基本料金 1,930円×20戸分=38,600円 ・・・(I)  (これで、10m3×20戸=200m3まで) 
 まだ、250m3残っていますね。
 単価263円は、1戸あたり10m3しか使えませんから、20戸で200m3です。
 ◆超過料金1 263円×200m3=52,600円  ・・・(J)  
 さらに、残っている50m3は、単価321円で、支払わなければなりません。
 ◆超過料金2 321円×50m3=16,050円  ・・・(K)
 これで、450m3になりましたので合計します
 ◆請求金額=((I)+(J)+(K))×消費税=107,250円×1.05=112,612円 ・・・(L)

 ここで、各戸が管理組合に支払う金額は、前回計算したように (E) 108,950円ですから
 差し引き、月額 3,662円が、赤字になります。(年額なら、約44,000円ですよ!)

 これが、赤字になる計算例です。
 前回の計算例と、比較してみてください。

2000年11月×日 札幌市内・Aさんからのメール 5

 赤字になる理由は、「水道局への申請戸数」が、じっさいの入居戸数より少ないということですか?
 うちのマンションが、10万円以上も赤字だということは、70戸の入居者なのに、ずっと少なく申請しているということですか?
 どうして、そんなことになるのですか?
 私が、途中で入居したから、理解できないのでしょうか?
 マンションの皆さんは、そのことを知っているのでしょうか?

【寺地から返信】

 あなたのマンションは、70戸と聞きましたが、全戸入居するまで4年かかったのでしょう?
 最初は、何戸からスタートしたのか、理事長さんに聞いてごらんなさい。

2000年11月×日 札幌市内・Aさんからのメール 6

 当初は、50戸弱だったそうです。
 それから、毎年5戸くらい売れて、私がこの6月に入居して全戸完売になったのです。

 ・・・あ!

 ということは、最初の50戸弱で申請したまま、4年間、申請を増やしていないということですか?!
 そんなばかな!
 その間、ずっと赤字が少しずつ増えてきたのじゃないかな・・・
 なんだか、膝から、力が抜けてきそうです。

 年末で仕事が忙しくなるので、ちょっと考える時間を下さい。
 私なりに、問題を整理して考えてみます

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