1 専門委員の役割・位置付けについての検討
2 工事発注規程の原案作成
3 総会で保留とした、本年度の施工業者の検討
平成9年11月29日の定期総会において、専門委員の役割・位置づけについて、規約を改正する議案が提出されましたが、合意が得られず、理事会にて再検討することとなりました。
専門委員会とは、平成7年7月の臨時総会の席上、組合員から発議され、その後理事会が「マンションだより」にて募集、9月から4名で発足しました。
当初は、数年後に必要になるであろう「大規模修繕」に向けて、調査・準備をしていこうということで、その役割・位置づけなどはあいまいにしたままスタートしたのが実際のところです。
ここで、専門委員会の活動経過を振り返ってみます。
平成7年 7月 | 臨時総会にて、長期修繕計画を策定 | |
同 9月 | 大規模修繕等専門委員会発足 屋上・外部目視調査 | |
同 11月 | 排水管問題の解決に向けて着手 | |
平成8年 5月 | 排水管調査試験工事に着手 | |
同 10月 | 排水管補修工事完了 | |
同 11月 | 総会にて排水管工事の報告 | |
同 12月 | ベランダ回りアンケート調査 | |
平成9年 1月 | ベランダ回り実地調査 | |
同 5月 | 大規模修繕に向けての本格調査開始 | |
同 9月 | 大規模修繕 工事仕様書等の作成 | |
同 10月 | 施工業者の推薦 | |
同 11月 | 総会にて、大規模修繕工事の説明 |
このように振り返ってみると、発足直後から、具体的で緊急な課題(排水管問題)を突きつけられ、無我夢中で取り組んできたというのが、本音です。
専門委員会は、このように、理事会を補佐する役割を担い、この2年あまりで十分な成果を残すことができたと自負しております。。
さて、いよいよ本来の目的だった大規模修繕を実施する段階を迎え、専門委員と理事会との協力関係や位置づけを明確にすべき時期が来たと考えます。
専門委員とは、
だれが任命し、だれがなるのか
どんな役割を果たすのか
何か、決定権があるのか
決定権があるなら、どんな責任を負うのか
……といったことを、明確にした上で、理事会との適切な協力関係をもち、大規模修繕という困難な課題を解決する一翼を担いたいと考えます。
本年1月の理事会・専門委員会では、協議の結果、次のように結論を出しました。
1 | 専門委員の具体的な位置付けや役割は、理事会が解決すべき課題や、そのときの状況によって、大きく変わる可能性がある。(たとえば、大規模修繕・震災火災復旧・遠い将来の建て替え・その他予測が不可能なさまざまな問題解決) |
2 | したがって、管理組合規約の中では、「理事会を補佐することを目的として、『専門委員会』をおくことができる」という程度の、ゆるやかな位置付けをする。 |
3 | 専門委員の具体的な役割や位置付けは、そのときの状況に応じて、そのつど各種の規程を設ける。そのような運用上の柔軟性を持たせることにより、臨機応変な対応が可能になる。 |
4 | 今回の「大規模修繕等専門委員」の役割・位置付けは、次項の「工事発注規程」の中で明らかにする。こうした案を、総会にて議論していただく。 |
いっぽう、この2年間、札幌近郊において、マンションの大規模修繕が、具体的にどのように実施され、どんな問題が生じているか、調査をしてきました。
1 | 資金不足の問題 新聞等でよく報道されるのは、「修繕積立金が不足しているために、満足な修繕ができない。」という問題です。幸いにして、このマンションでは、第1回の修繕を行うのに、必要十分な資金がたくわえられています。(昨年11月の総会にて説明) |
2 | 調査不足の問題 さて、実際に工事を発注する段階では、実にさまざまな問題事例があります。専門委員会などを組織して、十分な調査や検討を行ったところは、総じて結果が良好に思えます。しかし、入居者に専門家が一人もいないとか、面倒なことは理事会に任せて組合員が無関心……などという場合、理事の皆さんが困り果ててしまいます。 |
3 | 業者決定方法の不明朗 業者を、「いちばん安いから」という理由だけで安易に決定してしまい、「3カ月の約束で工事を始めたのに、6カ月以上かかった。」「仕上がりが雑で、大金を投じて修繕した甲斐がない。」などという事例も見受けられます。組合内部で責任をめぐって対立したり、極端な場合は損害賠償にまで発展するケースさえあると聞きます。業者決定には誰もが納得するルールが不可欠です。 |
4 | 監理の不備 工事が始まると、いちばん大切なのは、「施工業者が、仕様書(どんな材料を、どのくらい使い、どんな道具で、どのように施工するか……などを指示したもの)を守って、きちんと良心的に仕事をしているか」ということを、「確認したり、監視する」ことです。これを、工事監理といいます。 監理者は、毎日現場をチェックする必要はありませんが、仕上げをすると隠れてしまうような部分は、とくに入念に確認します。下地のチェックが終わらないうちは、次の作業にかかることを許可しないといったルールを定めます。また、工事写真や、材料の試験報告書などの書類チェックも行います。そのために、豊富な経験と専門的な知識が必要になります。この工事監理こそが、「塗装工事10年間保証書」の裏付けとなるのです。 大規模修繕の多くは、監理を「信頼するに足る業者に、お任せする」という形で進められており、監理だけを専門家に依頼する事例は多くありません。(外部の専門家に監理委託すると、監理料は工事金額の5%〜10%程度必要になり、限られた修繕積立金を取り崩すことに抵抗感があることや、札幌では、まだ監理の必要性が、広く認知されていないといった背景もあることと思います。) |
……これらの事例調査を踏まえ、工事の発注が公正かつ明快に行われるための要点を考えました。
「工事を発注し、監督する」という一連の作業の流れをひとつずつ分解して、検討を加えました。とくに、専門知識を持たない理事の方々が、どんなことに注意し、どんな方法でそうした作業を進めたら、組合員のみなさんにとって公正で安心できる結果をもたらすことができるかという観点から、「工事発注規程」の原案を作成しました。
この原案を、本年1月の理事会・専門委員会にて審議し、一部修正しました。その結果を、別紙のように、総会に提案いたいしますので、お諮りください。
さきの定期総会で、本年度の工事について、その内容と金額については承認されました。ただし、施工業者については、諸般の事情を考慮し、年明けに調査の上、再検討することに決まりました。
さきの総会に提案したのは、「札幌マンション販売株式会社」でしたが、実際にその下請けとして、昨年度の調査診断・施工計画立案の実務を担当したのは、「札幌塗装工芸株式会社」という、改修塗装専門業者でした。
この業者の実績や経営内容を調査してまいりましが、理事会・専門委員会にて慎重に検討した結果、以下の条件とともに、施工業者を決定しました。
「札幌Pハイム」大規模修繕工事 | ||||
1 | 施工業者 | 「札幌塗装工芸株式会社」(仮名) | ||
2 | 組合内部から、工事監理者を委託する。 5××号 Tera (1級建築士・1級建築施工管理技士) | |||
3 | 支払いを、出来高に応じた方法に一部変更する | |||
A | 中間検査後10日以内 | 出来高査定金額×90%以内 | ||
B | 完成検査時10日以内 | (工事金額×70%)-A | ||
C | 平成10年11月末日 | 工事金額×30%(残金) | ||
4 | 工事契約 | 総会にて承認後、2月中旬ころ工事契約締結 | ||
5 | 工事説明会 | 3月中旬頃開催予定 |
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