マンション修繕に関する理事会レベルの参考書
(とくに準備段階の本)

 マンション大規模修繕の計画が始まるのは、築後8年目くらいからというところが多い。この頃になると、「10年目」の大規模修繕をめどに、管理会社は診断を奨めたり、見積書を提出したりというアクションを起こすようである。
 その段階で、理事会の共通認識として、一冊のテキストを定め、全員で読むというのはたいへん実利的である。教科書を読むことによって、診断・改修業者との「共通語」も通じるようになる。私たちがマンションの修繕を準備した5年前と比較して、そういったことのための本がたくさん出版されていることはじつに喜ばしい。
 しかし、本屋さんに、いくら本が並んでいても、まったく意味がないのである。
 本は、あなたの手元にあってこそ、有益なのだから。
 
 (2001/1/17 Upload

新・マンション百科
建築家によるトータルメンテナンス
日本建築家協会・編
鹿島出版会  ISBN:4306043878 (1999-05-25出版)
2,200円   B6 341p
1995年の阪神・淡路大震災は、日本の建築家全体に、巨大都市の諸問題を横断的にとらえて、すべてに関わる一部としての建築(もちろんマンションも含む)を再考させた。
新しく広い視野でのマンションの問題点を加え、より充実したものとした新版。
第1章 建築家が考えるトータルメンテナンス
第2章 保守管理と長期修繕計画
第3章 修繕の診断・設計・監理
第4章 マンションの共用部分の修繕
第5章 マンションの専有部分のリフォーム
第6章 マンションの地震対策
タイトルは「マンション・メンテナンス百科」とした方が、しっくり来る。建築家協会の編集だけあって、論旨は明快。計画修繕に立ち向かおうという理事会が、「これから、我々は何をしようとしているのか。」ということを正しく理解するのに、最適な書だろう。1回目の修繕と、2回目の修繕は目的が違うことも、きちんと説明されており、私自身もこの本を教科書としている。


分譲マンション
長期修繕計画・計画修繕ガイドブック
東京都住宅局開発調整部民間住宅課
東京都政策報道室都民の声部情報公開課 (東京都有償刊行物指定第22号)
350    A4 88p (2000年5月 第2版)
 計画修繕と、そのために必要な長期修繕計画と修繕積立金について、管理組合の方々が取り組む際に必要な基本的知識を解説したもの。
1.計画修繕と管理組合の役割
2.計画修繕のための自己診断
3.建物・設備の自己点検
4.長期修繕計画と修繕積立金の実際
5.修繕工事の実際
  資料等
何と言っても、東京都の作成である。とにかく安い! ぎりぎりのボリュームで、簡潔に計画修繕を進めるためのガイドブックにまとまっている。哲学はないが、実際のアクションを起こしていくガイドとしては、十分だろう。私は、この刊行物を、まったく偶然、東京駅八重洲口の本屋で手に入れたが、都民でないと手に入らないのだろうか? 
 問い合わせ先は、下記のとおりだから電話してみたらどうだろう
 TEL 03-5320-4966 東京都住宅局開発調整部民間住宅課分譲マンション担当


マンション計画修繕の実務
工事の進め方のポイント
日本総合住生活(株)
マンション相談センター
日本総合住生活(株) ISBN:4795260583 (1993-4-30出版)
1,942円  A5 348p
1.計画修繕とはなにか
2.工事準備の進め方
3.計画修繕工事を発注する
4.計画修繕工事の進め方
 用語集・書式集など
具体的でわかりやすい事例を並べているので、たいへんに読みやすい。私のマンションの大規模修繕は、この本をテキストとして活用した。そのことを、まず感謝したい。ただ、漫画イラストを多用しているのは、やや冗長。写真をもっと入れて欲しい。ただこの辺は好みの問題であり、枝葉末節の話である。

 

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