1 建物の診断調査の実施
2 建物診断調査の結果について
3 建物診断調査結果の分析について
4 提案形見積書の徴収
5 提案型見積書の分析と仕様書の作成
6 仕様書に対する見積徴収と複数委員による調査
7 総会に推薦する施工業者の決定
かねてから、平成9年度に建物の診断調査を外部の専門家に依頼しようと考えておりました。
ちょうど、我がマンションの南側に位置する、「Kマンション」の大規模修繕工事が始まった頃、「北海道塗装」から、「建物の診断調査を(無料で)させていただきたい」との申し出がありました。
理事会・専門委員会で快諾し、5月中旬に診断を実施、まもなく「調査報告書」を受理しました。
その後の理事会・専門委員会で、調査報告書を検討した結果、来年度(平成10年)には大規模修繕を実施すべきだとの認識に立ち、情報収集を急ぐことにしました。
昨年度の排水管修繕でお世話になった「札幌マンション販売」からも、大規模修繕の調査・見積に参加したいとの申し出があり、快諾しました。
7月に調査・診断を実施し、まもなく「調査報告書」を受理しました。
基本的には、二つの報告書の内容は、おおむね似通っており、これ以上の診断は不要との結論に達しました。
建物診断調査の結果を、簡単に表すと、つぎのようになります。
以上のことから、大規模修繕の着手は、できるだけ早くすることが望ましい、との結論です。
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(参考写真) 1階ベランダ庇の先端で、鉄筋が錆びて膨張(爆裂) コンクリートを押し出して、脱落したもの この写真は、HPのために取り込んだもので、じっさいに配布した報告書には写真がない。 |
上記の診断結果について、簡単に解説します。
注1) 外壁の中性化 |
このマンションは、鉄筋コンクリート構造で作られています。鉄筋は引張力を、コンクリートは圧縮力を、それぞれ分担しています。 しかし、鉄筋は錆びるとぼろぼろになり、力を負担できなくなります。そんなデリケートな鉄筋を錆から守っているのは、コンクリートのアルカリ性なのです。ところが、コンクリートは、その表面からゆっくりと(1年に1o程度)中性化が進み、いずれ鉄筋に到達(鉄筋は、表面から30o程度のところにあります)すると、鉄筋の錆が急速に発達し、やがては建物が崩壊してしまいます。 |
注2) 鉄筋の爆裂 |
昨年の総会に出席された方には説明しましたが、107号室のベランダ天井から、コンクリートの固まりが落下したのは、コンクリートの中性化が進んで、浅いところにあった鉄筋が錆び、鉄筋は錆びると体積が増えますので、コンクリートを押し出したということです。 そういう目で、建物をごらんになると、西面の外壁のところどころから錆が流れ出しているのが目に入ります。たまたま、浅いところにあった鉄筋が、錆びて膨張した結果です。 このように、コンクリートの中性化が進むと、鉄筋が錆びてしまい、その結果、コンクリートの建物をぼろぼろにしてしまいます。 |
調査の結果、この建物では表面から8〜10oまで中性化が進んでおり、修繕を決断すべき時期に達していると考えられます。
建物診断調査の結果を踏まえて、2社から「提案型見積書」の提出を求めました。
建物の修繕に関しては、建物の新築とは違ったノウハウが必要であり、下記の3つの作業の流れは、同一の1社に発注しなければ責任の所在が曖昧になるとの考えから、「提案型」の見積書を求めたのです。
1 | 建物の診断(どこがどの程度痛んでいるか) |
2 | 修繕の仕様(どんな材料・工法で修繕するか) |
3 | 見積・施工(いくらで修繕できるか) |
もし、2社の提案が、専門委員が想定している修繕の品質を達成することができないような技術水準のものであれば、他社に広く呼びかけるつもりでいましたが、次章で述べるように、2社からはたいへんきめの細かい提案がなされました。
6月から9月まで、提出された見積書の検討や、業者との技術的な打合せに費やしました。
2社の見積内容は、その仕様(どんな材料・工法で修繕するか)において、共通点を探すのがたいへんなほど、異なっていました。
外壁の塗装でいえば、「塗装の材料を良くして、建物の寿命を延ばす」という考え方と、「コンクリートの中性化を防ぐ効果のある材料を用いて、下地をしっかり」という考え方です。もちろん、予算に糸目をつけずに、下地もお化粧もしっかりというのがいちばんですが、限られた予算の中で、どうやりくりするかが、鍵になります。
9月に入ってから、
1 | 実際に2社が施工した建物を見て歩く。 |
2 | 今年修繕をしている他の業者のデータを集める |
3 | 修繕に関する専門書を読んで仕様を固める |
……という作業を進め、おおむね次の方針を固めました。
1 | 屋上防水は、部分補修と、保護塗装のみ。 |
2 | 外壁は、特殊モルタルで下地をしっかり作る。 |
3 | バルコニー床は、分譲時の数倍の性能に向上する。 |
4 | 階段室の壁天井・集会室外部も塗装する 他。 |
(仕様書本文は、専門用語で書かれています。興味のある方には、お分けします。Tera までどうぞ。)
また、施工能力・施工実績を検討した結果、この2社以外からの見積徴収は、必要ないと判断しました。
一方で、複数委員によりこの数年間に2社の施工した建物を10軒ほど調査して歩き、業者選定の資料とすることにしました。
10月24日、仕様書という共通の条件のもとに2社から正式な見積書を提出してもらい、また営業・技術担当者から、修繕工事に対する説明を求めるとともに、理事・専門委員からの厳しい質疑応答を行いました。
その後、理事会・専門委員会で慎重に検討した結果、
1 | 下地を重視した「仕様書」に対する理解の深さ |
2 | 専門委員の質問に対する、回答の明快さ |
3 | 複数の専門委員による建物調査の結果 |
を踏まえて、「札幌マンション販売」を、来年度の大規模修繕工事の施工業者として、推薦することに決定しました。(全員一致の決議でした)
以上の結果、総会に提案する工事概要は、下記の通りです。詳細については、総会においてご説明いたします。
「札幌Pハイム」大規模修繕工事 | ||||
○ | 推薦業者 | 「札幌マンション販売」株式会社(仮名) | ||
○ | 工事費 一式 | 34,600,000 円 | ||
消費税 5% | 1,730,000 円 | |||
【合 計】 | 36,330,000 円 | |||
○ | 工期 | 平成10年4月中旬〜7月中旬 | ||
○ | 支払い条件 | 第1回 | 着工後30日以内 | 契約金額の30%現金 |
第2回 | 完成後30日以内 | 契約金額の40%現金 | ||
第3回 | 平成10年11月末 | 契約金額の30%現金 | ||
○ | 契約時期 | 平成9年12月中旬(予定) |
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