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◆韓国マンション探訪録 (2002/11/18〜11/22)
以下のお話は、まったく個人的な印象記です。 |
韓国からのメール
はじめて、韓国からメールを受け取ったのは、2001年の6月。 ちょうど札幌まつりが始まる直前で、北海道がすがすがしい初夏を迎えていた。 ホームページを公開して、3年ちかく経っており、全国のマンション管理組合から、いろいろな相談メールが毎日のように届いていた。 そんななかでも、学生からのメールで、しかも韓国からというのは、異色だった。 (以下、メールは原文を読みやすく修正・補完してある) ![]() 寺地 信義 様 はじめまして、韓国の大学院で現在論文を書いております日本人留学生のYと申します。 最近、韓国でもマンション修繕の第1号の工事が始まりまして、早急な計画と法の整備が必要とされています。よって、韓国でもしっかりとした修繕計画を作る必要があり、日々、それらの作成準備のため、研究をしているところであります。 今回、論文に長期修繕計画の例として、貴マンションの事例を紹介したいと思い、ご挨拶をかねて、メールを送らせていただきました。尚、著作権がある場合は許可をいただければ幸いです。 事例を拝見しましたが、ホームページは非常に詳しくて、何度もみて勉強させていただいております。そこで、一つ、疑問なのですが、貴マンションの本来の長期修繕計画はどのようなものだったのでしょうか。すべての事例が非常に具体的で、参考資料として、本当に感謝しております。 ただ、最初に計画していたものと、どのように違い、どれだけ予定してたものと変わっていったのかという過程がもう少し具体的にわかればと思います。それとも、修繕周期表はほとんど参考されることなく、独自の修繕計画をつくって進行されたのでしょうか。 最初に管理組合がたてた長期修繕計画表がわかれば嬉しいです。 突然のメールを送りまして申し訳ございません。可能な範囲で、コメント等、お答えいただけたら幸いです。 E大学校 工学部建築工学科学科 建築空間計画研究室 Y ********************* ![]() 寺地 信義 早速のお返事、ありがとうございます。 論文提出が1週間後に迫っているため、お答えいただき、嬉しく思っております。 > 建築工学の、都市計画系でしょうか?住宅計画系? > それとも、材料系がご専攻でしょうか? 研究室の名前は建築空間計画となっていますが、私が研究しているのは主に住宅計画になります。とくに、共同住宅・共用部分のリニューアルについて、勉強しております。 韓国のアパート(日本で言うマンション)は日本が3階以上であるのに対し、5階以上と定義づけられており、それ以下は連立住宅と呼ばれています。 そう定義づけられていても、98年時点で韓国全体の住宅数が1025万戸、アパートは472万戸となっており、おそらく現在はアパートの比率は50%を超えていることでしょう。 > 韓国のマンション建築の歴史を概観すると、どんな感じなのですか? > 第一号の修繕工事というと、まだ10年しか経過していないのですか? > これは、単純な疑問ですが、韓国は、ニュース映像などで > 急速な変貌を遂げていることを感じますが、あらためてマンションの > 歴史はどうなのだろうと思ったまでです。 これだけ、アパートの数があるのですから、10年だけでは建てられないようにも思われるんですが…。建てられた共同住宅を建築年代別に比率で表すと、
となり、韓国では、ほぼ10年以内に建てられたと言っても過言ではありません。これが、人口4500万の国で、アパート(マンション)の最近10年に建てられた実棟数も日本を上回っているわけですから、韓国の大規模修繕は日本の数倍の勢いで押し寄せてくるといえるでしょう。それを政府や市民の皆さんはあまり気づいておられない。(「ひょっとして、本来、修繕は必要ないものなのか?」と、日本のまじめに修繕している状況を疑ったりもすることもありました。) その上、管理組合の構成もほとんど皆無に等しく、状況は深刻です。(私だけが焦ってるのかもしれませんが…) よって、なんとか、日本のような修繕計画を早く認識していただく必要があることを感じまして、論文を書くことになりました。 > 事例として適切であるかどうかは、疑問ですが、具体的であることは > 確かですから、どうぞ自由にお使い下さい。 > 著作権などと難しいことは申しませんが、出典を明らかにして > いただければ、日韓友好の一助になるかと思います。 ありがとうございます。 貴重な資料として、引用させていただきます。 ************************ ![]() ホームページを子細に拝見しますと、重要資料が掲載されているのには驚き、いや、感謝、感謝です。 大変お忙しいことと存じますが、さらにお仕事を増やしてしまっているようで、お許し下さいませ。 この資料は韓国の共同住宅の為にもしっかりと論文に反映させていただきます。 また、韓国の共同住宅について、もし情報等が必要であれば、お答えいたします。 本当にありがとうございました。 *********************** ![]() 寺地 様 ありがとうございます。 お蔭様で、今日、やっと製本に出したところです。 今後は、少しアメリカで英語を勉強して、また、韓国で研究を続けることが出来ればと思っています。 娘さんが韓国に来られるんですね。(注1) 韓国は日本で言うと80年代でしょうか。経済は不安定ですが、まだまだ、右肩あがりに発展しつづけていますので、変化があって、活気があります。 今後も研究上、お聞きすることがあるかも知れませんが、何卒、ご指導頂きますようよろしく御願い申し上げます。 (注1)この年、次女は北海道札幌国際情報高校の2年生だった。例年ならば秋に韓国への修学旅行が決まっていたのだが、9月11日、アメリカでテロ事件が勃発し、ソウル市内でコレラ蔓延の兆しがあるなどの理由で、訪韓は中止になった。 |
修士論文がまとまったという知らせがあってから、しばらくは音信不通の状態になった。 漠然と、韓国に行ってみたいという気持ちはあったのだが、私は自分の身の振り方を考えるのに精一杯だった。 翌2002年3月、私はもとの会社を円満退社し、これからの仕事を考えると、ぜひとも外国のマンション(集合住宅)を見ておきたいと思った。 まずは、韓国だと考え、4月に入ってから、Yさんにメールを打った。 そうしたら、思いがけない返事が来た。 − 続 く − |
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