水道料金問題解決事例1
北海道マンション問題支援ネットワーク 2000
マンション等の水道料金算定に係る問題について
はじめに
札幌市の場合、水道料金の算定において「受水槽を設置するマンション等の共同住宅」は、条例の規定に基づき、管理組合が入居者の使用料金の集金(料金特例扱い適用)をするよう義務付けている。
そこで規定に基づき入居者の戸数を市に申請することになるが、管理を委託されている管理会社は、現在分譲が完了し、戸数が増加しているのに、当初の販売戸数のまま放置している場合がある。
この場合、水道の使用数量が増大しているにもかかわらず、使用世帯数を増やしていないために、札幌市の水道料金徴収規定と比較して、かなり余分な水道料金を支払っている事実がある。
また、政令指定都市各市について、その料金体系を調べてみたところ基本料金、従量料金の価格には当然違いはあるが、算定方法は同一と考えられる。北海道各市の状況については残念ながら調査していない。
以下事例に基づき説明したい。
家事用上下水道料金=札幌市
(水道料金)
基本料金 |
従量料金(1m3につき) | |||
0〜10m3 | 11〜20m3 | 21〜30m3 | 31〜100m3 | |
1,320円 | 0 | 200円 | 230円 | 265円 |
(下水道料金)
基本料金 |
従量料金(1m3につき) | |||
0〜10m3 | 11〜20m3 | 21〜30m3 | 31〜100m3 | |
600円 | 0 | 67円 | 91円 | 118円 |
※札幌市の場合は上下水道合算され、2カ月毎に請求されている。
計算の実例
札幌市中央区にある、A管理組合の管理委託を1996年6月から行っていたB管理会社が、24戸の東棟を15戸、24戸の西棟を16戸、それぞれ過少申告していたために次のような不必要な支払いになって、管理組合に対して損害を与えたものである。
それでは実際に過少申告による市からの請求分と、正規の戸数申請による計算例を示すので参考にされたい。
●過少申告によるもの(1999年9月10月分の実際に市からの請求分)の例
煩雑になるため、上下水道料金を合算した
水 道(申請戸数は15戸、基本料金の適用範囲300m3、使用量は915m3) | |||
基本料金 | 1m3〜300m3 | 1,920円×2月×15世帯 | @ 57,600円 |
超過料金 | 300m3〜600m3 |
267円×300 m3 |
A 80,100円 |
超過料金 | 600m3〜915m3 | 321円×315m3 | B 101,005円 |
計 | @+A+B=238,815×1.05=250,755円 |
●正規の戸数申請よるもの(1999年9月10月分)の例
水 道(申請戸数は24戸、基本料金の適用範囲480m3、使用量は915m3) | |||
基本料金 | 1m3〜480m3 | 1,920円×2月×24世帯 | @ 92,160円 |
超過料金 | 480m3〜915m3 |
267円×435m3 |
A116,145円 |
計 | @+A=208,305×1.05=218,720円 |
従って、(過少申告によるもの)250,755円−(正規の戸数申請よるもの)218,720円=32,035円が入居戸数過少申告による損害金となる。
損害金を業務過失責任として賠償請求
1999年11月に、水道使用量が通常月よりかなり多く算定されたので、水道局との折衝中に正規に戸数が申請されていない事実を突き止めた。
理事会では、この事実をB管理会社の業務過失責任100%と認定して損害賠償を行うことにし、賠償金額は損害金全額とした。
請求に当たっては、その事実を証明するために、
○実際に支払った請求金額と領収書及びそれとの比較の正規の申告による水道金額
○管理会社が条例に基づき市に申請した関係書類の写し(市水道局に請求して取得したもの)
○支払い各月の損害金額明細書
を作成し、管理会社と交渉に当たった。
本請求の正当性について弁護士に相談したところ、「市条例、他の法規に照らしても管理会社の業務過失は明らかであり、損害金請求は正当」との判断もあった。
さて、本交渉は関係書類の提示と説明によって、特別な問題もなく3年4ケ月分の損害金およそそ 68万円が全額弁償された。
その後、C管理組合及びD管理組合も同様な損害金の賠償請求を行っている。
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